山中漆器の特徴の1つ「縦木取り」について

こんにちは。
暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回のブログでは、山中漆器の特徴の1つである、縦木取りについてお話したいと思います。

私たちが製造販売している山中漆器は、450年もの歴史があります。石川県の南端部の山中温泉地区で作られております。
どちらかというと、調度品や高級品ではなく日常使いの漆器を今も多く作っています。

山中漆器は、木地の分野では国内トップシェアを誇っており、「木地の山中」と称されるくらい、木地挽きの技術が高い産地として知られています。
その、木地挽きの特徴として、木地を極限まで轆轤で薄く挽く「薄挽き」があります。


↑薄挽きの技術を用いた当店の商品「ウスビキライト」は木目から透ける柔らかな光が大変美しいです

木地を薄く挽くということは技術的にも大変難しいのですが、
木がそれに耐えられる強度がある事も必要になります。

山中漆器では、その強度を保つために、他の産地ではやらない「縦木取り」を採用しています。
他の産地では、木を横にしてスライスし、板の形に木取る「横木取り」が主流ですが
「縦木取り」では木を輪切りにして、年輪に対して平行に木取りします。

そうすることによって、年輪に対して素直な角度なので、強度があり歪みや収縮に強い木地になります。
割れにくく、歪みの少ない縦木取りの木地だからこそ、薄く挽くことが可能となるのです。

縦木取りはなぜ他の地域でやらないかというと、贅沢に木を使うからです。
縦木取りでは、木取りの際に芯を外して取っていくため、その分ロスになります。
ですが良いものを作るために、山中ではこの方法で作られております。

ただし、芯の部分が使えないため、縦木取りは大きなうつわを作るのには向いていません。
その為お椀などに用いられることが多いです。


↑縦木取りの木地で製作した当店の桜のお椀やカップです。薄挽きの技法で作った器は口当たりがよく見た目もスタイリッシュになります

それに対して横木取りでは最大限に木を活用できることが出来ます。

お皿や鉢などの大きい品は、横木取りで作られているものが多いです。


↑横木取りの木地で製作した当店の器です。ぜひ実店舗にてお気に入りの木目の品を見つけて頂きたいです。

縦木取りと横木取り、どちらのほうが相応しいかを判断し、使い分けて商品を製作しています。

守田漆器では、先人から現代まで引き継がれ続けている山中漆器の木地挽きの技術を大切にし、
最大限に活かして商品を製作しております。

これからも、今の時代や生活様式に合った、使いやすい品を作ることによって、
漆器のよいところを発信し続けていきたいです。

お読みいただきありがとうございました。

(O&M)