木地挽き職人の技

今回は、工房静寛の木地挽き職人に
お椀の内側を挽いている様子を見せてもらいました。

木地挽きの工程は、

一番左側の木地を、最終的に一番右側の商品の形に仕上げていきます。


左から「コロタ」→「荒挽き」→「中挽き」→「仕上げ」
と呼ばれています。

木は元々たくさんの水分を含んでいるので、
コロタからいきなり商品の形に仕上げてしまうと
大きく形が狂ってしまいます!

ですので、時間をかけて少しずつ挽き、乾燥させることを繰り返します。


※荒挽きした後、タワー状に積んで乾燥していきます。

※この並べ方を「輪積み」と呼びます。

※工房では荒挽きの材を仕入れてから中挽き、仕上げまで行い、
それを塗り上げてお品を作り上げています。

まずは轆轤に型を用いて木地をセットします。

お椀を削り出す道具で主に使うのは
木屑の中にずらりと並んだ長い刃物たち。

こちらの「鉋(カンナ)」という道具で削り出す形や用途によって鉋の先の形は様々。

複数本の鉋を使い分けながら用いています。

まずは「刳り出し」という形の鉋で中を広げます。

鉋の先から鉋くずが勢いよく飛び出していきます!

大まかに削れたら、「トンボ」という道具を使います。

トンボの先はドリル状になっていて、
お椀の内側の見付(底の部分)の部分に印をつけます。

印をつけた部分まで「えぐり」と呼ばれる鉋で穴を掘り、
また「刳り出し」の鉋で穴を広げ、形作ります。

※時折内側の型を合わせて形の確認をしながら進めます。

形ができたら「丸ジャカ」という鉋で表面をなだらかに削り出します。

※少しずつ、鉋くずが細かくなってきました。

さらに「小刀」で表面をならします。

最終的にサンドペーパーで滑らかに仕上げます。

鉋や小刀はこまめに砥石で研ぎながら作業を進めていました。

鉋のような様々な道具は、職人自作のものばかり。
道具を作ることも、使いこなすこと、どちらも体力が必要です。

削りすぎると後戻りできないので慎重に!

特に渕の部分は薄くなると欠けやすいので
欠けないよう気を配りながら進めているそうです。

工房静寛ではこの木地挽きの様子を見学でき、
実際に木地挽きを体験できる一輪挿しづくりのワークショップも行っております。

山中漆器を深く知ることができる工房静寛に是非遊びに来てください!

(I&N)