こんにちは。
やっと少し暑さが和らいできましたね。
先日、摺り漆屋さんへ取材に行ってきました。
今回はその時のことをお話したいと思います。
摺り漆とは、漆塗りの技法の1つで、木地に透けた生漆を摺るように
塗って仕上げる、木目の美しさを生かした方法です。
木の美しさを味わいつつ、漆の艶も楽しめて、
正にいいとこ取り!な技法だと思います。
お値段が真塗とくらべてお手軽なのも魅力の1つです。
まず、すり漆の作業場に入ると、漆の匂いがしました。
甘いような渋いような、この独特な匂いは天然の漆の木の樹液のものです。
漆を扱う職人さんの部屋はどこもこの匂いに包まれています。
漆を塗っているところを撮らせていただきました。
※画像をクリックすると動画が再生されます
前回のブログで、上塗り用の刷毛は人間の髪の毛を使用しているとお伝えいたしましたが
摺り漆に使う刷毛は、馬の毛が使われているそうです。
前回のブログはこちらからご覧いただけます。
摺り漆の場合、木目に漆を入り込ませないといけないので
ある程度は強度が必要だそうです。それには馬の毛が最適とのこと。
新品の刷毛を出して頂けました。
上塗り用の刷毛と同じで、少しずつ削って使います。
塗る品物によって、何種類かのサイズの刷毛を使い分けるそうです。
塗りの手順についても伺いました。
①着色。塗料のみを塗ります。※色によりしない場合もあります。
②目止め。木目から水漏れしないように、木目を埋める作業を行います。
砥の粉・漆・水を混ぜたものを塗ります。
③研ぎ
④摺り漆1回
⑤摺り漆2回
⑥摺り漆3回 で完成です。
上記の工程にて、商品が仕上がりますが、
それぞれの工程の間に、漆を1日ほど乾かす時間が必要になります。
乾かすときは、専用の漆風呂に入れて乾かします。
漆風呂のことを書いたブログはこちらからご覧いただけます
左から、
②目止め
④摺り漆1回
⑤摺り漆2回
の品です。並べると違いがよく分かりますね。
上記画像は、商品を回転させて塗る為の轆轤です。
足で踏んで速度が調整出来るようになっています。
下の画像のように、ポンプで吸引して品物を固定して轆轤を回し、塗るのですが
早く回しすぎると飛んでいってしまうので、調整が難しいそうです。
そして、漆を塗る度に、専用の布で拭きあげます。
品物や工程によって、使う布は何種類かあるそうですが、
品物に付かないような、毛羽立ちにくいものを使用しているそうです。
残念なことに、この布がだんだんと手に入りにくくなっているそうです。
このように、様々な手間と時間を掛けてすり漆の品物が出来上がります。
今回の取材を通して、弊社でも多く作られている、摺り漆の品物は、
職人さんの技術と努力によって作られているのだと再確認できました。
知らなかったことも多く、大変勉強になりました。
これからも、ブログで漆器についての様々なことをお伝えしていきたいです。
お読みいただきありがとうございました。
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