水分と漆と温度 乾かすのに水が必要???なぜ?

いかに漆を乾かすか・・・

漆を塗る技術だけでなく、今回は漆の乾きについて書いてみたいと思います。

日々、漆の状態を見極めて適切に乾かす。これも職人の大切な仕事です。


(※漉し紙で漆を漉します)

漆が乾くためには湿度が60%~80%、
温度20度~25度くらいが適しています。

そのため夏は漆が乾きやすく、冬は乾きづらい気候になります。

現在は3月、季節の変わり目、まだまだ寒暖差があり漆の乾きも安定しない難しい時期です。
毎日、注意して「乾き」を見ています。

では、うるしの乾き具合はどうやって確認するのでしょうか。

まず、漆が乾いていない状態で表面を触ってしまうと、品物に跡がついてしまいます。
そんな時、品物に触れずに漆が乾いたかどうかを確認する方法があります。

品物に息を吹きかけ、表面が白くなったら漆が乾いている状態です。
これは白息(しろいき)と呼ばれています。

また、息を吹きかけても白くならないのはまだ乾いていない証拠です。
これを青息(あおいき)と言います。
青息であれば湿度を上げてさらに乾かしていきます。

Q.「乾き」を失敗したらどうなるの?

A.きちんと乾かないときれいな品物が出来ません(・・・当たり前ですが・・・ 🙁 )

上手く乾かなかった場合、
・表面に「縮み」と呼ばれるムラのある仕上がりになってしまいます。
・漆が乾かなくなってしまいます。
・色がぼけてしまいます。

簡単に書きましたが塗師にとって「乾き」を見極めることはとても大切なのです。

お椀外側を塗ってから乾くまでに約5~7日。
外側が乾いたら内側の塗りに進みます。


(※回転風呂の中)

品物が仕上がるまでには塗りの各工程だけで1か月以上かかります。

工房静寛では、今冬から塗師風呂の温度・湿度をコントロールする機械も導入し、
漆をより最適な環境で乾かす事が出来るようになりました。


(※塗師風呂)

作業工程や道具、環境、培かわれた経験などにより、
「乾かし方」ひとつとっても職人さんごとに異なるのだそうです。

山中漆器の奥深い世界が広がっています。


(※上塗りの風景 1)

工房静寛でも、毎日漆と向き合いながら、実直に塗りを続けていきます。


(※上塗りの風景 2)

今回のブログは漆の乾燥には温度と水(湿気)が必要だということでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

(M&N)