山中漆器は様々な職人の手によって作られています。
その高い技術は約400年かけて伝えられてきた、かけがえのないものです。
そうした伝統を未来へと継承する取り組みの一つとして、
弊社には2名の若い上塗りの職人が在籍しています。
木地挽きや木地固め、下地、下塗りや研ぎ・・・等々
沢山の工程を経て上塗りが行われます。
上塗りは、漆器が塗りあがった時に肌に触れる部分になります。
(※蒔絵等の装飾は除く)
山中漆器を作るのに欠かせない漆は、漆の木から採取される樹液を精製して作られます。
漆は古来より塗料や接着剤としても用いられてきました。
湿度や温度を加えることで硬化するという性質があります。
上塗りでは、塗った時の刷毛目を残さないようにするために、乾きの遅い漆を使っています。
漆を塗る際に品物にホコリが入ってしまうと仕上がりに大きな影響があります。
ですから、塗りの前には必ず品物のホコリを取ったり、部屋を掃除しています。
漆も和紙を用いて濾すことで、漆の中のゴミを取り除きます。
漆を塗るのに使われる刷毛は、なんと人の髪の毛で作られいるのはご存じでしょうか?
毛先を切り出し、金鎚で叩いて調節して使います。
幅や毛先の長さ、柔らかさで、塗りの仕上がりが左右されます。
まずは外側から塗っていきます。
品物を持つ左手を手早く回転させながら、
高台から塗りはじめ、肩にかけて塗りの部分を広げていきます。
※高台の内側などの小さな面積の部分を平らに塗りあげるのが難しいそうです。
塗り終わったら、手早く表面のゴミを取ります。
漆を乾かすため、塗師風呂という木製の棚に入れます。
※こちらの塗師風呂は、山中で上塗り職人さんをご高齢で辞められた方から
もう使われなくなったものを譲り受け、大切に使っています。
回転風呂に一晩かけ、その後回転をやめ一日置きます。
翌日の朝、噴霧機で水をまいて湿度を上げた風呂の中に移して5~7日乾かします。
外側が乾いたら、次は同様に内側を塗っていきます。
漆は天然の素材であるため、季節の変わり目は、湿度や温度が変わることで
塗り色が暗くなったり、乾きづらくなったりします。
さらに、道具の調整や漆の硬さや厚み、乾き具合などが仕上がりを左右するため、
日々の漆や風呂などの調節は欠かせません。
職人たちは神経を研ぎ澄ませ、手早く丁寧な仕事を心掛けながら手を動かしています。