こんにちは。ご覧いただきありがとうございます!前回は、漆器の機能面についてご紹介しました。
前回のブログはこちら!👉【せいかつの漆器】
漆器の魅力は、機能面の強さだけでなく、見た目の美しさにもあります。
実は「漆器」と呼べるのは、木の器に漆を塗ったものだけなんです!山中“漆器”はその代表で、天然の漆ならではのつやや経年変化により出てくる深みを楽しめます。一方で、山中“塗”には樹脂やウレタン塗装のものもあり、より手軽に使える器として親しまれています。
漆の塗り方や、華やかな蒔絵、そして長年使い込むことで生まれる「味」。今回は「生活実用編〜見た目〜」をテーマに、漆器のデザインや美観にまつわる疑問にお答えしていきます!
Q.漆塗りの種類で、木目が見えるもの・見えないものの違いってなに?
A.ズバリ、漆の塗り方の違いによるものです!漆塗りには大きく分けて以下の種類があります。
・すり漆(拭き漆):木地に漆を薄く塗って拭き取り、木目を活かす仕上げ。素朴で自然な風合い。
▲すり漆で仕上げた漆器
・目はじき(木出):下地をつけず、木の凹凸をそのまま残した塗り方。木肌感が楽しめる。
▲目はじきで仕上げた漆器
・真塗り“しんぬり”:厚く漆を塗り重ね、木目を完全に覆う。深い黒や朱の光沢を持ち、鏡面のようにつややかな仕上がりになるものもあります。
▲真塗りで仕上げた漆器
木目の見え方は塗り方次第で大きく変わり、好みによって選ぶ楽しみがあります!
Q.蒔絵や金箔などの加飾ってどんなもの?
A.蒔絵(まきえ)は、漆で模 様を描き、その漆が乾く前に金粉や銀粉を蒔いて定着させる技法です。華やかで繊細な模様を描ける日本独自の装飾技術です。
また、金箔・螺鈿(らでん/貝殻のきらめきを漆に埋め込む)などもあり、いずれも「実用品でありながら芸術品」としての魅力を高めています。
▲金箔蒔絵で仕上げた漆器
Q.他にも加飾の方法はあるの?
A.加飾挽きというものもあります!加飾挽きとは、木地をろくろで挽くときに筋や模様をつける技法です。
「筋挽き」「玉縁」「ビリ筋」などがあり、光の反射や手触りで器に表情を与えます。
漆を塗ると、拭き漆では模様がはっきり見え、真塗りでは陰影として浮かび上がります。
見た目と触感の両方で楽しめる、山中漆器ならではの魅力です。
▲加飾挽き(千筋挽き)で仕上げた漆器
Q.漆器は長く使うとどう変わるの?
A.漆は時間と共に透明度が増し、下地の色や木目が浮かび上がってきますよ!新品の漆器は「深い黒」「鮮やかな朱」ですが、使い込むことで柔らかなつやや温かみが増し、世界に一つの「味」が生まれます。
これは「経年劣化」ではなく、むしろ「経年美化」と呼ばれる漆器の楽しみのひとつです。
▲新品の漆器(上)、使い込んだ漆器(下)
Q.修繕された漆器の見た目ってどうなるの?
A.ヒビや欠けは「塗り直し」や「金継ぎ」で修繕されます。特に金継ぎは、金粉や漆で補修跡をあえて見せる方法で、修理後も芸術的な味わいが加わります。全面塗り替えによる、傷を目立たなくする修繕方法もあるので、ご希望の修繕方法がございましたら、是非ご相談ください!
修繕跡を「傷」ではなく「物語」として楽しむ文化も、漆器の魅力の一部です!
▲傷を漆で修繕した漆器
Q.色は黒や赤しかないの?
A.いいえ。伝統的には黒と朱が多いですが、茶色・緑・黄色なども存在します。さらに、拭き漆によって木目を透かしたナチュラルな色合いも楽しめますよ。
また、近代漆器ではウレタン塗装などを用いることで、より自由な色や模様を表現できるようになり、インテリアや洋食器とも調和するデザインが増えているんですよ!
Q.光沢のある漆器とない漆器はどう違うの?
A.漆器の仕上げによって異なります。鏡面仕上げでは、研ぎと塗りを繰り返して光沢を最大限に引き出します。一方、つや消し仕上げでは落ち着いたマットな風合いになり、現代のインテリアにも合わせやすいです。
▲鏡面仕上げの漆器(左)、つや消し仕上げの漆器(右)
上の写真では風景がはっきりと反射しているのに対し、下の写真では風景の輪郭がぼんやりとしているという違いがわかるでしょうか?使い勝手は変わらないので、お好みのつやを探してみて下さい!
Q.伝統的な漆器と近代漆器では見た目に差がある?
A.伝統漆器は天然の漆による深いつやや透明感が特徴です!一方、近代漆器(ウレタン塗装や樹脂製品など)は色や模様が均一で、耐久性は高いですが「育つつや」や「経年美化」といった変化は少ない傾向にあります。
▲伝統漆器(上)、近代漆器(下)
まとめ
以上で「生活実用編〜見た目〜」のQ&Aはおしまいです!ご覧いただきありがとうございました!漆器の魅力はより伝わったでしょうか?
漆器の魅力は、見た目の美しさにもしっかりあります。塗り方によって木目を活かしたり、つややかな鏡面に仕上げたりと表情が変わり、蒔絵や金箔、加飾挽といった装飾で華やかさも加わります。
長く使えば透明感が増して「味」が生まれ、修繕すればその跡さえも物語になります。色や仕上げも実に多彩で、伝統漆器ならではの深みはもちろん、近代漆器では現代の暮らしに合ったカジュアルなデザインも楽しめるんです!漆器はただ使うだけでなく、時間とともに育っていく器なんです!
次回は「伝統×テクノロジー」をテーマにQ&Aで紹介していきます!お楽しみに!